東京・台東区にある、浅草ものづくり工房の入口とセミナールームに飾ってある、2枚の靴職人を描いた迫力ある絵画を見つけました。
2枚の絵画の作者は見一 眞理子(みいち まりこ)さんという方で、同館マネージャーのシューフィルの城さんに伺ったところ、見一さんのお父様が靴職人だったそうです。力強く靴づくりに励むお父様の姿を描いた絵画のようです。
実は筆者の祖父も、注文靴を誂える靴職人だったため、この絵を見ていると何か当時を思い出すような懐かしい気持ちなります。絵に描かれている工具類が古いものが多いからです。
浅草ものづくり工房1Fの入り口を入って、すぐ左側に飾ってある靴職人の絵画。
ハンドソーンウェルト製法の「すくい縫い」という行程を行っているように見えます。
左手にウェルト(細革)を持ち、両足で靴をしっかり挟み固定し、ウェルトを力強く縫い付けている様子に見えます。
まわりには、木型や工具類、足のイラストなどが描かれていることから、注文靴を製作しているのだと思われます。
Miichi(見一 眞理子)さんのサイン。
同館2Fにあるセミナールーム(会議室)の前中央に飾ってある、大きな靴職人の絵画。
底付けしたソールを、靴の形に合わせカットし、ソールの形を整えているところだと思われます。
この包丁の持ち方や、靴の押さえ方などの姿は、靴職人ならではの特徴的なひとときを描いています。
この絵画の面白いところは、職人の絵のまわりに木型や工具類などの様々な絵も一緒に描かれているところです。
右上には、壁につるされた複数の木型と、目覚まし時計。
右下には、靴づくりに使われる工具類と木型。
木型は婦人靴のものではないかと思います。
左下にも木型の絵。こちらは紳士靴の木型だと思います。
現在使われている木型はプラスティック製のものが一般的のため、「プラ型」とも呼ばたりしますが、昔はこの絵のような木製の木型が一般的でした。私の生まれ育った自宅を兼ねた祖父の靴屋には、絵のような木の木型がたくさんありました。(→昔の木型(靴型、ラスト)。天然木製の「甲木切り型」木型。)
木型の上には、古時計。
その上には、一玉の青りんご。細かくきれいに描かれています。
青りんごの上には、足形のようなものが。
注文を受けるときに取った、お客様の足形でしょうか。
Miichi(見一 眞理子)さんのサイン。
どの部分も繊細に描かれていて、何かメッセージ的な印象を受けました。
作家さんの絵画に対する情熱と、靴職人の靴づくりへの情熱が一緒に伝わってくる、素晴らしい絵画だと思いました。
浅草ものづくり工房へ行かれた際には、この絵画も是非見ていただけたらと思います。
同館では、年に数回施設公開が行われ、入居しているクリエイターさんの作品や仕事を公開し商談などの機会を設けています。
公開スケジュールについては、本サイト(shoepara)内のシューフィルページでも告知していますが、浅草ものづくり工房ホームページもご覧いただけたらと思います。
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(文・写真/shoepara編集部 大嶋信之)