筆者が、中古本屋で見つけた2冊の絵画集から、靴や足の作品をピックアップします。
1900年初頭から、現代アートにつながる感じがよいです。
▼「ERTE」(1995年/Jean Tibbetts)
▼「ボロフスキー展」(1987年)
1、「ERTE」(1995年/Jean Tibbetts著)Saturn Books Ltd発行
エルテ(Erté)の通称で知られる、ロシア生まれのフランス人美術家でデザイナーのロマン・ド・ティルトフの作品集。
Jean Tibbetts著(1995年)。
Jean Tibbettsは、元ニューヨークタイムス誌の記者で、Ertéとは25年来の付き合いがある。
ロマン・ド・ティルトフは、1892年生まれのフランス人美術家で、デザイナーでもあった。
絵画と服飾のデザインが目立つ内容になっている。
その中に、赤いレディースシューズ(パンプス)のデザイン絵画を見つけた。
作品名は「Red pump design for Delman Shoes, New york(1934年)」。
訳すと、1934年に「Delman Shoes(ニューヨーク)」のためにデザインした赤いパンプスとなるが、
調べると、Delman Shoesは、1919年創業のアメリカの老舗婦人靴ブランドのようだ。現在でもウェブサイトやインスタグラムが存在している。
ERTE(ロマン・ド・ティルトフ)の自画像。
若き頃の同氏の写真。
1925年、ハリウッドスタジオにて自身がデザインした衣裳を手に取るロマン・ド・ティルトフ氏。
MGM movie Paris「Oriental Ballet」(1929年)のための衣裳。
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2、「ボロフスキー展」(1987年)朝日新聞社発行
1987年、日本(東京都と滋賀県)で開催された、アメリカの美術家 JONATHAN BOROFSKY(ジョナサン・ボロフスキー)の作品展覧会「ボロフスキー展」。
同氏は、アメリカ(マサチューセッツ州ボストン)生まれのアーティストで、視覚芸術である「ミニマル・アート」と、大量生産・大量消費の社会をテーマに表現する「ポップ・アート」を折衷したような作品が特徴的。
「ボロフスキー展」は、1987年4月11日~6月7日に東京都美術館、同年7月14日~8月30日に滋賀県立近代美術館で開催された。
当時展示された、同氏の様々な作品の中に、足跡の版画(シルクスクリーン)が登場する。
「Foot Print in Cooper(足跡の銅板)」
銅版でできた足跡、大きさは、174.7cm×71.1cmというから、かなり大きいものだ。
ハンマーを持った巨人「ハンマリングマン」と足跡。
ハンマリングマンは、作者が幼少期に父親から聴かされた「フレンドリージャイアント(優しい巨人)」の話と、資本主義における機械文明の宿命とも言える労働者を意味してるという。
食物を収穫する出稼ぎ労働者、家を建てる建築労働者、靴職人など、手を動かして労働する者のシンボルで、作者の分身とも言える存在だそう。
「ハンマリングマンと足跡」は、1984年 スウェーデンのストックホルム近代美術館で開催された「ジョナサン・ボロフスキー」展より。
「I Dreamed I Could Fry(空を飛ぶ夢を見た)/1978年」
作品を見上げる作者。
1980年、アメリカ・ニューヨークの「ポーラ・クーパー・ギャラリー(Paula Cooper Gallery)」で行われた個展より。
JONATHAN BOROFSKY(ジョナサン・ボロフスキー)氏。
(文・写真/shoepara編集部 大嶋信之)
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