2020.10.04(日)
shoepara編集部 大嶋信之
2020年10月3日(土)、二子玉川ライズにて行われた、「Japan Leather Award(ジャパン レザーアワード)2020」応募作品一般公開に伺いました。
ジャパンレザーアワードは、 一般社団法人 日本皮革産業連合会が主催し、毎年一度行われる国内最大のレザープロダクトコンペティションで、フットウェア部門、バッグ部門、小物部門、フリー部門、学生部門の5部門に、ものづくりに携わる方、ファション系メーカーに勤務する方や個人でものづくりに携わる方、ファッションデザイナーを志す学生や若者などが、日本(国産)の皮革を使った自身の作品を応募し、グランプリなどの賞が贈呈されるコンペティションです。 今年は205点もの応募がありました。以下の公式サイトで、応募作品のすべてがご覧いただけます。
■Japan Leather Award(ジャパン レザーアワード)2020 公式サイト
https://award.jlia.or.jp/2020/
実は、今年は筆者も靴を1足応募しました。昨年10月に「あなたもシューズクリエイター!」というワークショップに参加し製作したモカシンシューズを、フットウェア部門に応募しました。
フットウェア部門は、技術力を競う「ベストプロダクト部門」と、未来のマーケットを創造する「フューチャーデザイン部門」の二つに分かれており、今回筆者は「フューチャーデザイン部門」に応募しました。
応募したモカシンシューズ。
https://award.jlia.or.jp/2020/list/detail.php?no=J20A-6013
アッパーの革は国産、パーツも浅草の資材屋で調達したものを使用。
手縫いモカ、スリップラスティング製法、底付けはセメント(接着)式。
■あなたもシューズクリエイター!公式ホームページ
https://www.youareshoescreator.tokyo/
会場となった、 iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ(東京都世田谷区玉川1-14-1)
東急電鉄「二子玉川駅」を降りてすぐの、二子玉川ライズョッピングセンター内にある。
会場内の様子。
靴だけでなく、バッグや革グッズが並ぶ。
入口を入ってすぐのところに、ありました筆者の靴が。
フットウェア部門のフューチャーデザインコーナーです。
筆者が応募したモカシンシューズ。
作品名: 1日でモカシンシューズが作れるワークショップ「あなたもシューズクリエイター!」で製作したマイシューズ
作者: 大嶋 信之 (株式会社パラシューネット)
作品コンセプト:
1日でマイシューズが作れるワークショップ「あなたもシューズクリエイター!」で製作した靴。自身で革を選び、パターンをあて、印をして、裁断、穴あけ、手縫いにて靴を作り上げます。本シューズでは皮革(表革、ライニング、中底)は、すべて国産をチョイス。その他の資材もすべて国内(浅草)の材料屋で調達されたもの。底付けは接着式。
製作レポート記事:https://shoepara.jp/tips/479/
他のフューチャーデザイン部門の作品をいくつかご紹介したいと思います。
(※上画像は、ジャパンレザーアワード公式サイトより拝借)
井上 篤さん(個人/ ATSUSHIINOUE )の靴作品。
作品名: URUSI
日本古来の伝統文化「漆」を使って染めた革を使用した、バックストラップサンダル。
天然の革の風合いと、漆の味がマッチした、日本ならではの一足。
動画「ATSUSHI INOUE」/URUSI (漆)
柳田 剛徳さん(個人)の靴作品。
作品名:Multi-Face
木型の曲線を極力なくし直線的・多面的に仕上げ、そのままアッパーのデザインにした靴。
ソール形状、特にヒールが独特な形状で特徴的。
長岡 誠さん(DWARF ドワーフ)の靴作品。
作品名:カラフルアサノハ柄パッチワーク靴
革と布地のパッチワークデザインが可愛いスニーカー。
中谷 雅昭さん(たつの市商工会)の靴作品。
作品名:メルヘンチックなレディースシューズ
独特な起毛革を用いた、ウィングチップパンプス。
中田 圭一さん(カワノ株式会社)の靴作品。
作品名:Zorishoe
靴の中に、鼻緒付きのインソールが内蔵された、独特な構造の靴。
作品名のとおり、草履(ぞうり)シューズだ。
細川 悠眞さん(個人)の靴作品。
作品名:100年履ける靴
ソールを自分で取り替えることができる構造の靴。ソールは本革製なので劣化しにくく、10年、20年だけでなく、100年履いてもらいたいとの想いから製作されたシューズ!
次に、ベストプロダクト部門の作品をいくつかご紹介。
ベストプロダクト部門は、デザイン力や素材の加工技術、縫製技術などの技術力を競う部門となっている。
三浦 隆さん(株式会社ストウ)の靴作品。
作品名:CROWN
作品名通り、王冠をモチーフにデザインされたというセミブローグドレスシューズ。
ギリータイプのレース(靴紐)部分、革の質感、ブローグ(親子穴)部分まで、繊細な技術力と職人技を感じた一足。
アウトソール(レザーソール)のカラーリングもGOOD!
益子 実佳さん(宮城興業株式会社)の靴作品。
作品名:ローカルシューズ
宮城興業のある山形県産の牛革を使用して作られた、作品名通りローカルの純山形県産のシューズ。
おいしい味で有名な山形牛、地元の食肉公社から特別に革を分けてもらい、鞣した革を使用し牛革の味もアピールしたいとの想いで製作した。
ソール周りの、ステッチが独特で特徴的。
レザーの風合いを活かしたデザインだ。
アウトソールは、履き良さそうなラバーソールが装着されている。
小花 亮介さん(アールアトリエ中目黒)の靴作品。
作品名:誰でも7時間で作れるレザーシューズ
作品名どおり、誰でも約7時間で作れるレザーシューズ。 レザークラフトの基礎技術だけで作れるとのこと。
ワークショップで培った独自の型紙を使用し、吊り込みなどの作業を簡略化。革はタンニン鞣しの栃木レザーを使用。
アウトソールは、ビブラム社製のスポンジラバーソールが装着されている。
小花 亮介さんの作品紹介動画。
須田 逹弥さん(マイテウ)の靴作品。
作品名:STIPE
鮮やかなレッドカラーが特徴的な靴。 ヨーロッパ原皮の馬革を加工したジャイロという自家製の革を甲革に使用。
大和田 徹さん(WOW 和を)の靴作品。
作品名:楽しい靴
作品名通り、履いているとき、履こうと決めたときにもワクワク心が躍る、楽しい気持ちになれる靴。
坂崎 匠さん(個人)の靴作品。
作品名:ショートブーツ
豚革の厚手なヌバックを使用したショートブーツ。片足だけ履き込んだ風に洗い加工が施されている。
森 雅誠さん(個人)の靴作品。
作品名: steglitz(シュテーグリッツ)
“ creative functionalism(創造的機能主義)“ をコンセプトに作られたシューズ。
スポーツ×革靴の、未来的なイメージを受けました。
金子 真之さん(個人)の靴作品。
作品名: Muneshige
デザインが凝られたロングブーツ。
戦国時代の猛将 立花宗茂を想像し、すね当てをイメージして作られた。
冨田 貴昭さん(個人)の靴作品。
作品名: フットベッドサンダル
コードヴァンレザーを使用し、ハンドソーンウェルト製法で作られたサンダル。
重厚なドレスシューズを思わせるデザインがGOOD!
KO MINJUさん(個人)の靴作品。
作品名: 十長生亀
亀の甲羅をイメージしたデザインの靴。カメは強さ、忍耐力、長寿のシンボルを表現した。
ムン ビョンソクさん(fourtotheforce 4⁴)の靴作品。
作品名:basic
革の風合いを感じるサンダル。ラスト、アッパー、ソール、デコレーションのデザインを、それぞれ4通り、計256通りから選べるサンダルのデザインシステムを構築し、最高のフィットをユニセックスで 実現した。
次に、学生部門の靴をいくつかご紹介。
ファション系、デザイナー系の学校に通う学生さん達の作品が並ぶ。
任 宇微さん(専門学校 ヒコ・みづのジュエリーカレッジ)の靴作品。
作品名:タンチョウ
日本に住む最大の鳥、タンチョウをイメージして作られたレディースシューズ
翼の羽をデザインしたアッパー(甲革)が個性的。
神保 美里さん(専門学校 ヒコ・みづのジュエリーカレッジ)の靴作品。
作品名:cwrapn(シーラップン)
ふわふわしたアッパーが特徴的なパンプス。
「包む」 × 「時間の流れ」 をコンプセプトに作られたシューズ。
渡辺 楓さん(専門学校 ヒコ・みづのジュエリーカレッジ)の靴作品。
作品名:KOKE
草の生えたような自然を感じさせられる一足。
表革はヌバックを使ってしっとり感を出し、コケのフサフサ感と生えている形を靴で再現した。
バッグ部門。
凝ったデザインで、職人技を感じさせられるバッグが並ぶ。
様々なデザインのバッグ。
カラーバリエーションも豊富。
革のプリントや柄も素敵だ。
ウェア&グッズ部門。
個性的なデザインの、見ているだけでも楽しい革小物作品が並ぶ。
フリー部門。
個性的なデザインの、見ているだけでも楽しい革小物作品が並ぶ。
フリー部門・フューチャーデザイン部門の、
丁野 ヒロユキさん(studio ten en)の革作品。
作品名:RECORDING STONE
大きな岩を思わせる、革作品。 革の性質を超アナログな記憶媒体と捉え、革の表面に残った様々な傷やシミから、それらが残る要因となった風景を記憶の中から再び思い描くことができる革製家具の提案。
フリー部門・フューチャーデザイン部門の、
小森 匠さん(Masksmith)の革作品。
作品名:増女
増阿弥が創作した女面「増女」 。 “絶対一見しただけでは革に見えない作品” がコンセプト。
革でできているとは思えない、見事な出来映えだ。
フリー部門・フューチャーデザイン部門の、
戸倉 幸治さん(個人)の革作品。
作品名:ボタニカルな青写真のテーブルランプ
透明ピッグスキン(生皮)にシダの葉を青写真で焼き付け(フォトグラム)したランプシェードのテーブルランプ。
透明レザーを用いた、革製品には到底見えない驚きの一品。
フリー部門・フューチャーデザイン部門の、
大澤 孝一郎さん(個人)の革作品。
作品名:桃観台(桃スタンド)
桃をお尻に見立てた、レザーパンツの桃スタンド。
発想がおもしろすぎます!
会場内で行われていた、村木るい氏によるレザーセミナー「本日は革日和」。
■動画「Japan Leather Award 2020 審査会」
会場の様子と、審査員のコメントなど。
【「Japan Leather Award(ジャパン レザーアワード)2020」応募作品一般公開にお伺いして】
個人のデザイナーさんから、プロの職人さんまで、幅広い方々のデザイン力に触れ、見ているだけでも楽しい作品が多く、そして想像力も掻き立たせられました。技術力とデザイン力、革ならではの素材を活かす工夫や発想力など、職人達の様々な才能を拝見することができました。日本から世界に通用するブランドや革製品が誕生してほしいと願うと同時に、今後の日本の皮革産業の発展に大いに期待したいと思います。
(文・写真/shoepara編集部 大嶋信之)