UGGのサンダル
正直なところ、私は、ブランド名をあまり知らない。同世代の女性ほど詳しくはないと思う。
大体、ファッション誌を購入したことがないのだから。
『UGG』というブランドも知らず、買った後でネットで調べて、「アグ」と読むことを知った。
そんな私が、2016年、池袋の東武百貨店でサンダルを探していた。
その時履いていたサンダルが、ぼろぼろになっていたからだった。
はっきり言って、百貨店の雰囲気と、大型スーパーで安売りしていた千円にも満たない、白いサンダルは、ミスマッチだった。恥ずかしい。
物持ちがいいタイプなので、数年は使っていた白いサンダル。
同じような白いサンダルが欲しかった。
婦人小物売り場を歩いていると、靴売り場を発見。サンダルが並んでいた。
いろんなブランドのサンダルが置いてあったが、ジーっと見て、目に留まったのがいくつかあった。
白系統のサンダルもあったけれど、デザインがいまいちピンと来ない。
私の買い物は、値段やブランドを気にせずに、物を見て、気に入るかどうか。ただそれだけ。
物、ありき。物しか見ていない。ブランドの看板なんてどうでもいい。
その方が、納得がいく買い物ができるからだ。
白いサンダルを探していたはずなのに、目に留まったのは、少し厚底の天然素材っぽいサンダル。そう、UGGのサンダルだった。
店員さんに試着を勧められる。
試着って、できる限りしたほうがいいと私は思う。靴ならなおさら。足の健康は大事だから。
私の足は細いので、少しブカブカだったけど、厚底のわりにとても軽くて、思わず、
「わー、軽いですね!」
と声を上げてしまった。
「これはコルクで作られているので、軽いんですよ」
と、店員さんが教えてくれた。
即決。軽くて、歩きやすいし、デザインも文句なし。買わない理由がなかった。
ベルトの穴を開けてもらい、さて、今まで履いていたサンダルをどうしようかと思った。
「このまま、履いていってもいいですか?」
ずうずうしく、お願い(笑)。もう、すでに荷物を持っていたので、これ以上持ちたくなかった。
店員さんは、普通に快諾してくれた。
「こちらのサンダルは、どうなさいますか?」
ぼろぼろのサンダルを見られて恥ずかしいと思いつつ、
「そちらで処分って、できますか?」
私、またも、ずうずうしいお願いを(笑)。
しかし、店員さんは、嫌な顔一つせずに、
「では、こちらで、処分させてもらいますね」
と。ありがとう、店員さん。
新しいサンダルを履き替えて、私は、再び、百貨店の中を歩き出した。
それからの夏は、このサンダルを愛用している。今年の夏も、たくさん履いて出かけたい。