くつみがきのチレミイ(amazing sneaker cleaning in Tokyo)

くつみがきのチレミイ(amazing sneaker cleaning in Tokyo) 【関東】

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靴磨き、スニーカークリーニング

2023/03/19 のショップニュース

靴の日

靴の日

「靴業発祥の地」を一年ぶりに訪ねた。
ここがどこかというと、1870年3月15日に西村勝三が日本で初めての靴工場「伊勢勝造靴場」を開業した中央区入舟の一角である。
控え目に言っても、今は記念碑だけがまさに控え目に佇んでいるだけになってしまっているほど周囲の環境は靴と関係ないらしい。先人達は自分らすら履いたことのない靴の製造に立ち向かった、と本で読んだ。草履の時代、履いたことすらない靴というものを作って、履いたことのない人々へ普及させる。この仕事は生半可な道ではなかっただろうから、それにあやかって、築地伊勢勝通りとか築地革座通りというような、偉業を讃える名称の道が作られる未来があっても良かったかもしれない。

まだ私が西村卿と革靴の歴史を知らない時に、築地にアトリエを構えて靴を作っている作家さん(いつも助言をくださる先生だと思っている)を紹介していただいて、短期間であるが初心者でも作れるモカシンを手解きいただいたことがある。そのおかげでギリギリ少しだけ築地に愛着を持つことができ、西村卿にも一歩だけ近寄れているような気になっている。そのIsicoさんは少し前にも当店を訪ねて来られ、私を笑顔にして帰っていかれた。歴史ある築地で靴作りを教えてくださった経験ともども感謝の言葉しかない!

話を戻すと、記念碑はお墓でないから手を合わせるわけではないし、何のために訪ねるのか自分でも分からない。サイコメトリーとか霊感のようなものでかつての工場の風景を感じ取ることももちろん出来ない。だから自らの想像力に頼るしかないが、当時の風景なんて全く想像できないものだ。
だが、訪れてから数日、じんわりと心に残る何かが在る。確実に在る!
もしかしたら、西村勝三という会ったことのない先人の前で(銅像があると仮定してみて)、靴に対して興味がなくなっていないか確認し、真面目に仕事しますと誓うための装置のような場所なのかもしれない。
その一年更新の契約から生まれる責任とやる気がぼんやりとチャージされている状態なのだろう。
それだったら一年に一回、気持ちを確かめに行くしかないよな、と思うのである。