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靴が好き!な人のためのカルチャーマガジン「シューフィル(SHOEPHILE)」発行。クツミライパートナーズ代表。

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2020/09/25 のシューフィルニュース

<シューフィル・インフォメーション> 日本の靴150年イベント、ご協力・ご来場のお礼。そして、今後のイベント企画のご案内。

<シューフィル・インフォメーション> 日本の靴150年イベント、ご協力・ご来場のお礼。そして、今後のイベント企画のご案内。
靴に携わる人にとって2020年は、日本初の靴工場ができて150年目となる節目の年。いくつもの記念行事やイベントが予定されていましたが、新型コロナ禍により軒並み中止や延期となっていました。

ようやく8月末に浅草文化観光センターと伊勢丹・靴博の一部で歴史イベントの開催・公開にこぎつけ、9月19、20日には渋谷スクランブルスクエアで同様の「日本の靴150年・歴史展示」を行うことができました。

時間も予算もまったくない状態での企画、商品および資料手配、浅草の会場運営でしたが、多くの皆さんに助けられ無事終了いたしました。ご来場者も熱心で、また旧知の方も多く、心強く励まされる日々でした。

この秋以降も、日本の靴の歴史・文化を伝えるイベントなど懲りずに行っていきます。令和のパラダイムシフトを克服するには、産業文化、企業哲学、商品科学の確立が不可欠であり、歴史に学ぶことは多いはずです。

<shoe shoe EVENT in 浅草> 予定
11月23~29日  三澤則之シューアート作品展示
12月1~7日    靴の本・雑誌・資料展示閲覧会
12月7日      高田喜佐を読む矢代朝子朗読会
2021年
3月2~30日    東靴協会70周年記念歴史展、井上諒の古靴コレクショ
           ン公開、靴づくりの道具・機械展示&製作実演など

※10月24・25日 レザーワールドに”草木染め革+クリエイター”による
           製品コーナーを提案開設

今後の”歴史資料””時代の名靴”集めのために、今回の展示靴のリストを作成しました。名靴50、名靴100の展示を改めて開催したいと願っています。時代の名靴発見によろしくご協力ください。

時代をリードした靴 24
時代をリードした靴24
『時代をリードした靴24』 in SHIBUYA SCRAMBLE SQUARE


明治・大正・戦前の靴/昭和20年代の靴
明治・大正・戦前の靴/昭和20年代の靴
明治・大正・戦前の靴
日本の靴150年の前半期は、見よう見まねで西洋伝来の革靴を作り始め、和服に下駄・草履という服飾文化の国に広めていった時期。とはいえ、手先が器用で、ものづくりの職人気質・文化がある日本ならではの高度で工夫に富んだ靴が早くから作られた。

昭和20年代の靴
戦争が終わって平和になったが、皮革などの材料すら満足に手に入らない時期が続く。しかし、産業復活と洋装時代の新たな靴づくりに情熱を燃やす業界人や職人は、将来
を見据えた技術革新や商品開発に地道に着々と取り組んでいった。

1 大礼服用深ゴム靴(七つハギ)
明治の文明開化で、皇室や議会では洋服が正礼装となる。その大礼服用の靴としてゴム敷布を縫い込んだ深靴(サイドゴアブーツ)がつくられた。七つの部分がはぎ合されているため通称「七つハギ」と呼ばれた。〈皮革産業資料館所蔵〉 Tel:03-3872-6780

2 編上げ婦人深靴(ブーツ)
皇室や政府、上流社会から広まった洋装・洋靴。明治の貴婦人たちは19世紀ヨーロッパ風のドレスに深靴(ブーツ)姿で美しさを競った。明治20年頃からは、より活動的な靴紐や留め具付きの短靴が広まった。〈皮革産業資料館所蔵〉 Tel:03-3872-6780

3 大正~昭和期の婦人靴
大正末期から昭和にかけて、近代化が進んだ大都市に登場した最先端モダンガール(モガ)やモダンボーイ(モボ)。そのモガたちが愛用したアンクルストラップのパンプス。1920年代の世界的流行靴だった。重要有形民俗文化財 第164号〈福山市松永はきもの資料館所蔵〉 Tel:084-934-6644

4 子供靴の名品“スクリッパー”
子供靴が広まったのは明治末から大正時代にかけて。初期の子供靴を代表するのが“スクリッパー”と呼ばれたアンクルブーツ。ドイツの子供用紐靴を日本向けにワンタッチ金具付きに改良した名品と言えよう。重要有形民俗文化財 第164号〈福山市松永はきもの資料館所蔵〉 Tel:084-934-6644

5 日本人の足に合う婦人靴
1951(昭和26)年、戦後復興・産業発展を技術向上で果たす意気込みで作られた第2回製靴技術協議会で入賞した婦人靴。日本人の足型に合う靴をつくる、というテーマに沿って製作された靴でもある。〈皮革産業資料館所蔵〉 Tel:03-3872-6780

6 戦後最高の手縫い紳士靴
第4回製靴技術競技会で通産大臣賞を受賞した紳士靴の名品。木型、型紙、製甲、底付け、仕上げ、すべてに日本の靴職人の心意気、技術の粋を集めた最高水準の手縫い靴として今なお輝きを失わない逸品だ。〈一般社団法人東靴協会所蔵〉 Tel:03-3252-5656

7 接着製法・機械生産の婦人靴
1950年代以降、改良された接着剤・合成ゴム底・製靴機械によるセメント(接着)製法が広まる。生産が効率化され量産が可能となり、産業発展をもたらした。その記念となる初期の接着製法・機械生産の婦人靴。〈皮革産業資料館所蔵〉 Tel:03-3872-6780

8 昭和30年代のミュール
高級婦人靴メーカーが当時の最先端素材、プラスチックヒールと塩ビアッパーを使って製造したミュール。革製パンプスが2000円前後の時代に、3000円以上という高価なトレンドファッションシューズだった。〈内田製靴所蔵〉 問合せ:シューフィル


高度成長期の靴/ファッション全盛期の靴
高度成長期の靴/ファッション全盛期の靴
高度成長期の靴
昭和30~40年代、靴産業は近代化機械化を急速に進め発展していった。経済成長、若者のファッション化なども追い風になり、ブーツをはじめとしたヒット商品も次々に生まれる。デザイン性が重視されるようになり、一方で技術開発も進んだ。

9 紳士靴を変えたVANリーガル
戦後のメンズファッションを大きく変えたVANとアイビー&トラッドの流行。1964年、そのVANとのコラボで製作した「VANリーガル」も若者に大人気。ビジネス一辺倒だった紳士靴市場に新風を吹き込んだ。〈リーガルコーポレーション所蔵〉 Tel:047-304-7112

10 東京オリンピック公式シューズ
1964年の東京オリンピックで選手、関係者のジャケット用にコーディネート製作された公式シューズ。白一色のプレーントウは開会式などのセレモニー用、白茶のコンビネーションは移動時などに用いられた。〈リーガルコーポレーション所蔵〉 Tel:047-304-7112

11 高度成長期のビジネスシューズ
戦前からの大手メーカーは戦後一貫して紳士靴づくりに力を注いだ。一見地味だが、履きやすく、丈夫で、手ごろな価格の靴を------各社それぞれ研究開発を行いビジネス戦士・サラリーマンの足元を支える靴を提供した。〈リーガルアーカイブス所蔵〉 Tel:047-304-7112

12 編上げロングブーツ
60年代半ばから世界的に大ブームとなったミニスカート。そのコーディネートアイテムとして欠かせなかったのがブーツ。以後のブーツ時代の先駆けとなり、最初にヒットしたのが編上げのロングブーツだった。〈個人所蔵〉 問合せ:シューフィル

13 ルーズフィットブーツ
70年代はブーツの時代。様々なデザイン、タイプが登場したが最大のヒットはルーズフィットブーツ。きつくても筒幅伸張器を使ってでも足を入れる、給料をすべて使ってでも高級ブーツを手に入れる、そんな時代だった。〈内田製靴所蔵〉 問合せ:シューフィル

14 厚底高寸の婦人靴
ブーツと並行してヒットしたのが当時、厚パン物と呼ばれた厚底高寸(プラットフォーム底)のパンプスやサンダル。パンタロンルック、ヒッピー、モッズやフォークロアといった若者ファッションの足元を飾った。〈内田製靴所蔵〉 問合せ:シューフィル

ファッション全盛期の靴
ブーツブームが終わる頃から、ファッションはより成熟・高度化していく。企業は自社ブランドやデザイナーの世界観を商品・店(売場)・広告などにトータルで反映させ、消費者は生き方、生活スタイルをファッションに反映させるようになっていった。

15 ニュートラパンプス
70年代末、ブーツからパンプス中心の時代に。シンプル&リッチなニュートラ系、また、ニューヨークのキャリアファッションが注目を集め、ファッション誌では本物、高品質、ブランドなどがキーワードとなっていく。〈内田製靴所蔵〉 問合せ:シューフィル

16 デザイナーブランド「KISSA」
デザイナーの草分けとして早くから活躍、注目されていた高田喜佐。初期はデザイン性豊かなサンダルや厚底靴、次いでシンプルなマニッシュ、遊び心あふれるカッターなど、80年代、その世界はさらに広がっていった。〈内田製靴所蔵〉 問合せ:シューフィル


2000年代の靴


2000年代の靴
17 キャラクターブランド「卑弥呼」
70~80年代のDC(デザイナー&キャラクター)ブランドブームを牽引し、靴ビジネスをファッションビジネスとして再編し、拡大した企業の代表ブランド。90年代に入り百貨店ブランド化していく。〈個人デザイナー所蔵〉 問合せ:シューフィル

18 パリで活躍した「AKA」
80年代のDCブランドブーム時に活躍し、85年にはパリに進出したデザイナー赤嶺勤。89~93年にはAKAのブランドショップも展開、遊び心に洗練さが加わった靴を打ち出し注目を集めた。〈個人所蔵〉 問合せ:シューフィル

19 90年代の厚底靴
ストリートファッションが人気となり、コギャル・ガングロ・ヤマンバそしてアムラーが話題となった90年代後半にヒットした厚底靴やブーツ。転倒事故などもあったが、女の子たちはまったく問題にしなかった。〈クロスロード所蔵〉 Tel:03-3875-3606

2000年代の靴
21世紀を迎えるころから、国際的な舞台で靴づくり、ビジネス活動をするクリエイターや職人が目立つようになる。新たな生産体制、販売システム作りに取り組む若手もいる。日本の靴は多様な可能性を秘め、151年目を迎えようとしている。

20 伝統と革新の「スピングルムーヴ」
2002年、備後(広島県府中市)から世界へ、を合言葉に誕生したレザースニーカー。バルカナイズ製法と巻き上げソールが特徴で、職人の手わざが随所に生かされている。まさに伝統と革新のメイドインジャパン商品だ。〈スピングルカンパニー所蔵〉 Tel:050-3537-1817

21 靴職人・三澤則之のアートな靴
2002年から10年余り国内・海外で靴づくりや革工芸の修行・研修を重ね、現在では世界に顧客を持つ靴職人として活躍。一方で、靴をモチーフにしたアート作家としての創作も行い、国際的評価を高めている。〈三澤則之オフィス所蔵〉 Tel:03-6807-8839

22 ブライダル靴・SenSiMiLLia
人生最良の日に最高のブライダルシューズを。そんな思いで、お客・デザイナー・職人、3者のコラボで作りあげるセミオーダーシューズ「センスィミリア」。“美しい履き心地”のハイヒールは女性の最良のお友達。〈センスィミリア所蔵〉https://www.sensimillia.jp/

23 SDGs発想のリメイクスニーカー
スニーカーの底をオールソール感覚で張替え、新たな靴として再生する「アディショナルソール」。今日の国際社会の最大テーマ、SDGs(持続可能な開発目標)に添った靴として国際見本市でも注目されている。〈スタジオイマーゴ所蔵〉 Tel:090-2449-8812

24 京都発、和の発想のブーツ
日本古来の沓、伝統文化をモチーフに世界に打ち出す新たな日本の靴を提案・製作する吉靴房。その代表作が足袋をモチーフにしたシリーズ。他に革下駄、深御沓など多彩。多様な企業・業種との連携が生まれつつある。〈吉靴房所蔵〉 Tel:075-414-0121

shoe shoe EVENT in 浅草( 予定)
2020
11月23~29日 she shoe ART展 三澤則之グループ作品展示
12月1~7日 she shoe BOOK展 靴の本・雑誌・資料展示
12月7日 高田喜佐を読む聞く話す 矢代朝子朗読会

2021
3月2~30日(靴の記念日イベント) 
東靴協会70周年記念展/井上諒古靴コレクション/製靴機械・道具展示など開催


日本の靴150年/ファッションと靴の変遷
日本の靴150年/ファッションと靴の変遷
日本の靴150年/ファッションと靴の変遷

明治時代:文明開化は洋装・洋靴から
日本で靴がつくられるようになったのは、今からちょうど150年前の1870(明治3)年のこと。当時は、着物に下駄・草履の時代、靴を履くのは文明開化をリードした政府の官僚や警察官、そして圧倒的に多かったのが西洋式軍隊の兵士たち。明治時代から昭和10年代まで、男の靴の中心は何といっても軍靴だった。
1883(明治16)年に外交・社交の場として鹿鳴館が完成し、政府高官や貴族たちが舞踏会などを開くようになり、上流階層の間に洋装・洋靴スタイルが広まり、ハイカラ(西洋流行)好きの一般人も取り入れた。礼装用の短靴やブーツ、ゴム製や布製の靴、スリッパや子供靴まで、意外なほどバラエティに富んだ靴がつくられている。また、西洋式の教育に力を入れる学校でも、教師の正装、学生の制服は洋服に靴履きを採用し始める。明治中期以降には、女学校でも制服の洋装化が進み、袴姿にブーツを履くスタイルが流行した。

大正~昭和:モダン都市を闊歩する靴
大正時代(1912~1925)から昭和初期にかけては、様々な社会問題を抱えつつも都市の近代化が進み、衣食住すべてに洋風化が受け入れられ、映画・ラジオ・スポーツなどの20世紀的大衆娯楽が広まった時代。自由で開放的な大正デモクラシーの気風が生まれ、ヨーロッパのアールヌーボー、アールデコファッションをベースとしたモボ(モダンボーイ)・モガ(モダンガール)スタイルが大都市で流行した。
男性は、レジャーウエアやスポーツウエアをベースにしたスーツやジャケットが代表的で、足元は、コンビネーションのスペクテイターシューズ。女性はシャネルが打ち出したシンプルでストレートなシルエットをアレンジしたフラッパー(おてんば娘)スタイルが人気だった。足元はアンクルベルトのパンプスが広く履かれた。若者ファッション、ストリートファッションの第1号と言えよう。

戦後~50年代:平和の足音軽やかに
1945(昭和20)年、戦争が終わり平和な時代に。しかし、人々の暮らしは食べていくのがやっと。おしゃれどころではない。軍靴を改造・修理した靴を履いたり、モンペに下駄のスタイルに戻ってしまった。戦後ファッションはアメリカに影響を受けたアプレ(戦後派)ファッション、パンパンルックと呼ばれたストリート系から始まるが、本格的には、クリスチャン・ディオールのニュールックなどのパリモード、映画「赤い靴」や「麗しのサブリナ」などに代表されるシネマファッションから多くの流行が生み出されていく。
婦人靴では、5㎝程度の太めのアメリカンヒールとハート型の履き口のパンプス。赤いハイヒール、つま先が細いイタリアンカットのハイヒール、スリングバック、ぺったんこのサブリナシューズと、生活の安定、女性の社会進出と共に次々にヒットが生まれる。紳士靴はサラリーマン用の一般的なビジネスシューズの広がりがメインで、ファッションシューズとしてはGIシューズ、ラバーソールやコンビの靴などが散発的・限定的に流行した。
60年代:ミニとブーツと若者と60年代は日本経済の高度成長と若者文化が台頭した時代。その象徴がミニスカート。ロンドン、パリを発信源に世界中に広まり、日本でも66年、モデルのツイッギー来日をきっかけに爆発的にヒットした。これに前後して、ビートルズやグループサウンズ、アングラ文化などの流行とシンクロしてアイビーファッション、モッズルック、フォークロア、パンタロンルックなどが次々に登場して、街は活気にあふれていた。
靴も、紳士靴ではリーガルの「VAN REGAL」に代表されるトラッドシューズからヨーロッパ調のモカシンなど、ヒット商品が多く生まれた。それをはるかにしのぐヒットとなったのは婦人ロングブーツ。ミニスカートと共に長期的流行を続け、ファッション業界、社会的にも大きな注目を集めた。次いでパンタロンに合う厚底のサンダルやブーツもヒット、つくれば売れる時代、靴産業も高度成長した。


70年代:ファッションの黄金時代
70年の「アンアン」を皮切りに「ノンノ」「流行通信」「JJ」「ポパイ」「モア」「クロワッサン」などファッション誌が次々に創刊され、ファッションの多様化、カジュアル化、ライフスタイル化が進んでいった時代。戦後生まれが人口の半数を突破し、ニューファミリー、OL&女子大生がファッション消費をリードする。ロングスカート、パンタロン、マキシコートなどのビッグファッション、ジーンズルック、フォークロア、ニュートラ、ハマトラ、サーファー、と次々に新しいスタイルが打ち出され広まっていった。
靴ではブーツが引き続きヒット。はじめはロングのルーズフィット、後半にはハーフやショートが流行した。ビッグファッションに合わせ、ボリュームのある厚底のブーツ、サンダルも、紳士靴の厚底物と並び70年代前半を彩った。中盤からはニュートラの金具付きパンプス、カッター、ジュート巻ウエッジ、マニッシュなどが流行した。日常履きとしてのピンヒールヘップ(ミュール)やスニーカーのヒットも業界的話題だった。80年代:企画問屋とDCブランドが大ブーム80年代はファッションの高度化・成熟化が進んだ時代。パリコレや東京コレクションが注目されDCブランドが一大ブームとなった。一方で、原宿のストリートファッションが登場し、やがて渋カジに姿を変えていく。ニューヨーク志向のキャリアファッションも大きな流れを生み、やがてバブル期には、お嬢様ルック、ボディコンファッションへと移行していく。靴でも、企画問屋と総称された新進企業と若手デザイナーが打ち出すDCブランドが拡大していく。ブーツは影を潜め、オープン物やマニッシュパンプス、ジュート巻ウエッジ、ローファー、デッキシューズ、ゴールド&ブロンズ物など目まぐるしく流行が変わっていった。ストリート系ではオデコ靴やスニーカーがヒット、トレンド色の強いケミカルも大人気だった。まさにファッション爛熟。その一方で、消費者の間では足と健康への関心が高まり、業界的には革靴の貿易自由化を指向するTQ制度がスタートした。パラダイムシフトが静かに、着々とすすんでいたが、産業は何事もないかのように元気いっぱいだった。

90年代:主役はストリート系ファッションに
90年代はバブル崩壊と阪神淡路大震災に象徴される時代。激動の波の中、既存の体制や仕組みが崩れ、気が付けば消費税が導入され、センター試験が始まり、野球よりサッカー、電話よりインターネット、正社員より非正規雇用、といった様々な転換がすすんでいった。ファッション分野でも、渋カジ、キレカジなどのストリートファッションが全体をリードし、消費の主役もギャル、コギャルへと低年齢化していく。シャネラー、アムラー、ガングロ・ヤマンバ、古着ファッション、キャミソールルック------既存のブランドや大手メジャー企業の権威や仕掛けをあざ笑うかのような流行が生まれていった。
靴でも、80年代にヒットしたブランドや企業が後退し、カジュアルブーツなどのインポートシューズが伸びていく。後半には厚底ブーツやサンダル、ミュールがヒットした。ブーム的売れ行きといわれたスニーカーが、年々シェアを伸ばしていったのも、この時代から。
2000年~:新たな価値観と枠組みを創造新世紀を迎え、時代は波乱含みとなる。アメリカ同時多発テロはその後のテロや地域紛争の先駆けとなり、地球温暖化による猛暑・豪雨・環境破壊は進み、リーマンショックや東日本大震災、そして新型コロナウイルス禍まで負の連鎖が止まらない感がある。それでも若者たちは元気に次の時代を模索する。「かわいい」をキーワードにした価値観を生み出し、ファストファッションと同時にセレブファッションを支持し、SNSを駆使した新たなファッションやカルチャームーブメントを創造し、ビジネス分野でも販売システムを変革しつつある。そろそろ本格的に21世紀の枠組みが構築されそうだ。
靴分野でも、美脚ブーツ、レザースニーカーといったヒット商品より以上に、ファッション性と履き心地を備えた靴の開発、足の計測システムと連動したフィッティング販売、職人によるオーダーメイドシューズの製作、靴をより楽しく自分流に育てる靴磨きなど、従来にはなかった上質な靴とシューズライフの提案が進んでいる。


ニッポン靴産業150年歴史年表
ニッポン靴産業150年歴史年表

シューフィル 城一生
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TEL: 090-8776-6048