2020.08.22(土)
shoepara編集部 大嶋信之
2020年8月21日(金)、「日本の靴・靴の浅草150年記念イベント『shoe shoe history of japan(シューシューヒストリー・オブ・ジャパン)』 ~靴ミュージアム3館ジョイント展~」(クツミライパートナーズ主催)に伺いました。
本展示会は、 8月18日~30日の13日間にわたり、浅草文化観光センター7階 (東京都台東区雷門2-18-9) にて、日本の靴産業誕生から今年で150年という節目を記念し、我が国の革靴産業の歴史から現代までの靴づくりに関するアーカイブや貴重な靴ミュージアム所蔵品などが展示されております。入場は無料、どなたでもご覧いただけます。
会場の浅草文化観光センター(東京都台東区雷門2-18-9)。
会場の真ん前は雷門です。
会場の7階展示ホール。
会場入り口には、東靴協会の所蔵品で、戦後復興期、十分な材料や道具もない中で開かれた「製靴技能競技会」で最優秀賞を獲得した手製紳士靴(小笠原製靴)。
株式会社リーガルコーポレーション(千葉県浦安市)の資料室「リーガルアーカイブス」より展示品。
リーガルアーカイブスより、リーガル(REGAL)の歴史に残る名靴。
世界長ユニオン株式会社より、同社の代表作であるマレリーとUNIONの靴。
マドラス株式会社より「madras」の靴。
皮革産業資料館(台東区橋場1-36-2)より展示品。
紳士礼装用深ゴム靴(別名 七つはぎ)。
明治、対象から昭和初期まで、同一デザインで愛用された礼装用靴の代表。(稲川 實 所蔵)
大塚製靴株式会社の前身、大塚商店の靴。
製靴技術コンクール入選作品。
昭和26年セメント製法以前のアリアンズ縫い(半機械製)。
ペンシルトウの婦人靴。
昭和30年代合成ゴムの開発とセメント製法の普及で量産化されるようになった。
あしあとスクエア/松永はきもの資料室(広島県福山市松永4-16-27)より展示品。
重要有形民俗文化財の婦人靴。
昭和時代を代表するブランドの婦人靴。
過去に流行した靴の数々。
昭和41年当時、月給が15,000円の時、コードバンの靴は5,000円と高価だった。
馬1頭から採れる量が少ないコードバンレザーの靴は、今も貴重で高価だ。
海外有名ブランドとのライセンス契約により、国内で生産された婦人靴。
デザインも多岐にわたる。
<現在、国内で活躍する靴づくり職人の作品>
春日幹生氏(アトリエオーパ)の作品。
厚底の紳士靴が新しい。
須田達弥氏(マイテウ)の作品。
独特のラスト(木型)が特徴的。
角田健太郎氏(シューメーカーカド)の作品。
クロコダイルレザーがワイルドな一足。
ブーツは、昔の礼装用靴を思わせるレトロなデザインと現在の紳士靴の融合を感じさせる。
木口充恵氏(ミッシュ)の作品。
独特なデザインが特徴的。
井上篤氏(atsushi inoue)の作品。
独特なデザインとカラーが特徴的な、作家の世界観が際立つ靴。
パターンオーダーで受注製作している。
▷「atsushi inoue」ホームページ
▷「atsushi inoue」フェイスブック
▷「atsushi inoue」インスタグラム
曽田耕氏(ko)の作品。
革の風合いとハンドメイドならではの温もりを感じる靴。
どこか無骨さと考え抜かれたデザイン性が融合した、なんとも言えない魅力がある。
会場に飾られた、靴の絵画。
作家は、長年(株)リーガルコーポレーションで商品企画を携わった寺田敏明氏の作品。
ワークブーツの絵画。
甲革(カーフ)の風合いと柔らかさ表現した一枚。
「REGAL TOKYO」の靴。
ご夫婦でのオーダーシューズを思わせる、革の風合いとつま先の焦がしなど職人技を表現した一枚。
寺田氏は凧名人でもある。
東京銀座にある「REGAL TOKYO」店頭に、お正月に飾られた歴代の干支の凧。(寺田氏作製)
絵付けも寺田氏によるもの。
革で作られた凧(寺田氏作製)。
靴職人が描かれている。
寺田敏明(Toshiaki Terada)
群馬県出身。工学デザインを学び、大手靴メーカーに入社。
長年にわたり企画デザイン設計業務に携わる。
現在は、フリーで靴の仕事に携わっている。
※参考文献
会場で無料配布されている小冊子「shoe shoe history of japan - ニッポン靴産業150年」(シューフィルC&Cネットワーク刊)
靴産業誕生から現在までの歴史がわかりやすくまとめられた一冊。
説明文の参考にさせていただきました。
■一部を紹介
2:文明開靴(ぶんめいかいか)「ニッポン靴産業のあけぼの」
幕末から明治の時代変革期に生まれた、靴産業の背景が記されています。
5:風林靴山(ふうりんかざん)「大手紳士靴メーカー7社」
日本を代表する靴メーカー、靴ブランド企業7社をピックアップし、明治~大正~昭和の靴産業を振り返ります。
その他、年代順の年表や当時の写真を使ってわかりやすい解説がされており、靴に関わる方やファッションに興味のある方、また日本の近代史に興味のある方なら、この1冊を入手するだけで、足を運ぶ価値があるか思います。
お近くにお越しの際は、ぜひ立ち寄ってみてください。
【訪れてみての感想】
今からちょうど150年前の1870年(明治3年)の3月15日、佐倉藩藩士の西村勝三が、東京の築地入舟町(現在の中央区入舟町)に、我が国初となる製靴工場「伊勢勝造靴場(いせかつぞうかじょう)」を操業し、日本の靴産業がスタートしました。
西洋靴の技術を吸収しながら成長し、戦時中は軍靴の製造で日本軍の足元を支え、戦後はファッションの波に乗って現在に至ります。
150年で培った日本の技術力は素晴らしく、今後に継承され発展していくことを願いたいです。
(文・写真/shoepara編集部 大嶋信之)